キャプティブの概要
キャプティブは、親会社やグループ会社のリスクを引き受けるための子会社である保険会社のことです。
あまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、トヨタ自動車や花王など私たちが知っている日本の企業もキャプティブを利用しています。
日本ではキャプティブに関する法律が整っていないため、キャプティブを海外に設立することが一般的となっています。積極的にキャプティブを誘致している地域としてアメリカのハワイ州やイギリス領等が挙げられます。
日本の保険業法では日本国内に支店がない海外保険会社と直接保険契約を結ぶことが禁止されています。
では日本国内に支店がない海外保険会社の保険商品を利用したい場合はどうすればよいのでしょうか。
そのような時にキャプティブが役立ちます。
自社が子会社のキャプティブと保険契約をし、そのキャプティブが海外保険会社と再保険契約を結ぶことによって海外の保険を間接的に利用することができるのです。海外進出と事業承継にも有効な方法論のひとつですね。
キャプティブのメリット
キャプティブを保有している企業が受けることのできるメリットの代表例をご紹介します。
補償範囲が広がる
昨今の企業を取り巻く経営環境の変化や技術の進歩により、これまで想定できなかったリスクが生じることも考えられます。
日本国内の保険商品でそういったリスクを賄えない場合でも、海外の保険でカバーできることがあります。
そこでキャプティブを介し海外の保険を間接的に利用することにより自社のリスクの補償範囲を広げることができます。
保険料が安くなる
たとえ日本と海外で同じ様な補償範囲の保険商品でも海外の方が保険料が安く、補償金額が大きいということもよくあります。
そのような時にキャプティブを介し間接的に海外の保険を利用することによって保険料の削減が可能になります。
保険料が企業の内部留保となる
これまでは外部の保険会社に払っていた保険料を自社グループのキャプティブへ払うことになるため、グループ内に資金を内部留保できるようになります。
これによりグループ全体でのキャッシュフローの向上が見込まれます。
保険会社としての利益を出すことができる
損害発生の状況によっては保険引受利益や運用益を得ることができる場合もあります。
保険料交渉がしやすくなる
自社グループで保険会社を持つことにより保険会社としてのノウハウが蓄積され、保険料の相場が分かるようになります。
海外の保険会社と再保険を契約する際にその知識を活かすことで保険料の交渉をしやすくなるのです。
リスク回避意識の向上
損害を発生させてしまうと自社グループのキャプティブから保険金が支払われることとなるため、グループ全体としては損失を負ってしまうこともあります。
そのため、外部の保険に加入していたときよりも一層様々なリスクへの対策を考え実行していくことで、グループ全体のリスク回避の意識向上を期待することができます。